専門医のコラムDr's Column

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2015

認知症に関連か?「ビタミンDが高め」で「血糖値が正常」が重要!

認知症

ビタミンDと脳の体積は関係あるか?

過去の医学研究で、ビタミンDは、認知能力に良い影響を与えるようだと示されてきました。
脳の体積と認知能力には関連性があると考えられています。年を取ると脳の体積が減り、それに伴い、認知能力も下がってくるからです。

今回、血中のビタミンDの濃度と脳の体積に関連性があるかどうか、検証が行われました。

Brouwer-Brolsma EM et al. Higher Serum 25-Hydroxyvitamin D and Lower Plasma Glucose Are Associated with Larger Gray Matter Volume but Not with White Matter or Total Brain Volume in Dutch Community-Dwelling Older Adults. J Nutr. 2015; 145: 1817-23.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26136594

65歳以上で検証

対象者はオランダに住む65歳以上の217人。

血中のビタミンDは、体内で存在する形である「25ヒドロキシビタミンD」が測定されました。

脳の体積は、磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影した脳の画像を解析して調べ、脳全体の体積、灰白質(かいはくしつ)の体積、白質の体積をそれぞれ調べられました。

灰白質は、脳の表面の神経細胞(ニューロン)が存在する場所。白質は、灰白質の内側にあって神経細胞の連絡路(軸策)が集まった部分です。

糖尿病との関係も調べた

今回、血糖値と血中インスリン濃度も測定し、かねて血中ビタミンD濃度と関連があると言われている糖尿病についても、同時に関連性を調査されました。
血中ビタミンD濃度と脳の体積、血糖値や血中インスリン濃度と脳の体積との関連性は、「多重線形回帰分析」という統計手法で解析。

さらに、血中ビタミンD濃度と脳の体積との関連性に血糖値が与える影響も解析しました。

偏りを起こす可能性がある複数の条件について補正したものを最終データとしました。

灰白質の体積に影響

脳の灰白質の体積は、血中ビタミンD濃度が高いほど大きく、さらに、血糖値が低いほど大ききいという結果でした。

脳全体の体積および白質の体積については、血中ビタミンD濃度、血中インスリン濃度と関連は認められませんでした。

脳全体の体積とビタミンDの濃度の関係については、血糖値の高低によらず影響は確認できなかったとのこと。

認知症や糖尿病を予防する意味からも、参考になる報告だと考えます。

骨代謝などに関わるビタミンDの作用

ビタミンDは骨代謝やカルシウムの恒常性の維持に関与し、カルシウムが腸から吸収されるのをサポートしたり、骨形成などを促します。
ビタミンDはビタミンD2とD3に大別することができ、総称してビタミンDと呼びます。各ビタミンDはそれぞれ含まれている食品や作用が異なりますので、D2・D3と区別したビタミンDの作用を以下にご紹介します。

ビタミンD2

ビタミンD2は、紫外線などの照射によって植物内に生成されます。ビタミンD3と同様に食品から摂取される栄養素であり、きのこ類に多く含まれています。

ビタミンD3

皮膚組織にはプロビタミンD3というビタミンDの前駆体が存在しており、紫外線によりプレビタミンD3となり、最終的にビタミンD3へと転換されます。食物中からも摂取される栄養素で、魚介類などに多く含まれています。

これらのビタミンDは肝臓や腎臓で代謝されると、タンパク質の働きを介して、腸や内臓器官でカルシウムなどの吸収を促し、骨形成や骨の成長を促進します。

 

当コラムは患者さんのお役に立てていただく参考資料として配信しております。

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