専門医のコラムDr's Column

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2016

オキシトシン 眼を見つめる勇気!

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先日のコラムで「落ち着きのある人」を取り上げました。面白かったという声をいただきましたが、人の目を見て話をすることがストレスになるという反応も!?

他人の目を見つめて話せる力、について医学論文が報告されています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?db=pubmed&cmd=link&linkname=pubmed_pubmed&uid=17888410

愛情ホルモン、オキシトシン

「目は口ほどに物を言い」ということわざがあるくらい、目というのは多くの情報を秘めているようです。ヒトの気持ちを理解する上で、相手の目を見れば何を考えているかが想像されるほどです。少なくとも怒っているのか、喜んでいるのか、伝わりますよね。

コミュニケーションが上手な人というのはこの目で相手の心を捉えるのでしょう。では、他人の目をしっかりと見るためには一体何が必要なのでしょうか。抵抗なく相手の目を見ている人と、相手の目を見られない人と何が違うのでしょうか?

今日紹介した論文は愛情ホルモンオキシトシンと視線を合わせる能力について調べたものです。

この愛情ホルモンオキシトシンは出産や養育に関わってヒトを愛情深く、コミュニケーション能力を上げる役割があるのですが、オキシトシンを摂取することで相手の目に視線を合わせやすくなることが報告されています。

自閉症者や不安障害者は他人と目を合わせることが難しく、それゆえコミュニケーションが更に難しくなるということがあるのですが、ヒトへのオキシトシンを使った介入が有効なのではないかということが述べられています。

http://www.pnas.org/content/106/27/11382.full

【要旨】

【背景】オキシトシンはヒト以外の動物では仲間の認識と社会的な近接行動に決定的な役割を持っていることが報告されている。ヒトにおいてはオキシトシンは信頼感を高め他者の感情理解を容易にすることが知られている。またオキシトシンは人の顔の中でも眼の領域への注意を高めることで顔情報の処理を促進することが考えられてきた。

【方法】プラセボを用いた無作為二重盲検法で52名の男性被験者を対象に24単位のオキシトシンもしくはプラセボを摂取させ、24の中立的なヒトの顔写真を見せた。

【結果】オキシトシンを摂取することで眼の領域への注意が増した。

【結論】オキシトシンはヒトの顔の眼領域への視線を高めることが示された。このことはオキシトシンが感情認知やコミュニケーションや社会的な近接行動を高めるメカニズムの一つであると考えられた。この知見は視線を合わせることを避け表情認知に障害をもつものの治療に役立てうることが考えられた。

Biol Psychiatry. 2008 Jan 1;63(1):3-5. Epub 2007 Sep 21.

 

当コラムは患者さんのお役に立てていただく参考資料として配信しております。

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