専門医のコラムDr's Column

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2015

ドライアイ外来 ②

 

 ドライアイの治療には人工涙液による点眼療法が一般的ですが、ここで注意しなければならないのは防腐剤の有無です。

 

 通常の点眼液はボトルの中にカビや雑菌が繁殖しないために防腐剤が入っています。しかし、それは同時に目の細胞へ毒としても働きます。特にドライアイの方は、目の表面に傷がついていたり、頻回に点眼が必要となるため、少なからず防腐剤の影響を受けてしまいます。防腐剤の含まれていない点眼液がありますので、ドライアイの方にはそのような目薬を勧めています。一方で、防腐剤無添加の点眼液はその易汚染性により、開封後長期にわたり使用しなことが条件となっています。

 

 市販の目薬の中には、充血をとる作用を持つものがあります。これは、一時的に血管を収縮させて充血をとるもので、充血の原因そのものを改善するものではありません。充血をとる目薬を長期的に使用していますと、かえって慢性的な充血を引き起こす場合がありますのでご注意下さい。

 


 

ドライアイ治療「涙点プラグ」について

 

 

「涙が排出される涙点(上涙点/下涙点)にシリコン製のプラグ(栓)を挿入することで、涙の排出を軽減します。」

 

 涙点プラグは、人工涙液の点眼では、自覚症状が軽快しない場合や、眼の表面の傷が改善しない場合に、次なる選択肢として勧めている治療です。涙には細胞成長因子であるタンパク質やビタミンなどの重要な成分を含んでいます。これは人工涙液では補うことはできません。涙点プラグを挿入することで、栄養を含んだ自分の涙で眼を潤すという点で優れた治療法といえます。

また、涙が少ない方にとって、コンタクレンスの装用はトラブルの元になります。コンタクトは、よく海に浮かぶ船にたとえられるように、涙の層の上に浮いています。しかし、涙が少なければ、コンタクトという異物(船)が座礁し眼の表面を傷つけることになります。このような場合には、涙点プラグによって涙を保つことで、コンタクトレンズ装用による眼への負担を軽減できます。

 

 涙点プラグ挿入術は、外来による簡単な処置で行えます。まず、点眼麻酔をし、患者さんの涙点の大きさを測定し、挿入するプラグのサイズを決定します。プラグの挿入は、ペンのような専用の道具を使いワンタッチで施行できます。痛みはなく、5分程度で終了します。涙点プラグは、一度挿入しても、外来ですぐに外すことができます。

 

 涙点は上涙点・下涙点と二つありますので、ドライアイの症状にあわせて、上・下どちらか片方だけに挿入する場合もあります。また、左右の眼どちらか一方に試して症状の改善を確認するといったこともやっています。なお、挿入後1週間で自然に溶けてなくなるコラーゲン性プラグもあり、その症状に応じて選択します。

 涙点プラグ挿入術の費用は、使用するプラグの本数で変わってきます。涙点は両眼合計で4つあり、ドライアイの症状に合わせて、上涙点/下涙点のどちらか一方を塞ぐ場合と、両方を塞ぐ場合とで金額が変わってきます。

下記の値段は、当院で行っている涙点プラグ挿入術にかかる費用です。その他、検査料などが別途必要となります。

涙点プラグ挿入術費用の目安


【保険3割負担の方の場合】

片眼
両眼
プラグ1本
3,350円
/
プラグ2本
4,810円
6,700円
プラグ3本
/
8,150円
プラグ4本
/
9,610円

 

 

 

 

 

 

 注意点

 

 

  涙点を塞ぐということは、ながしでいう排水口を塞いでしまうのと同じになりますので、老廃物が眼の表面に留まることも起きえます。このため、目やにやかゆみが増えることがあります。この場合は人工涙液で老廃物を洗い流したり、抗生物質、抗アレルギー剤の点眼を併用する場合があります。また、効き過ぎの場合、かえって涙が溢れてしまうこともあります。この場合は、上・下涙点どちらか一方にプラグを挿入するなどして、涙の排出量を調整します。

通常、プラグによる違和感はあまりないのですが、プラグの頭が眼の表面にふれて角膜や結膜を傷つけることがあります。違和感は、時間が経つと慣れる場合がほとんどですが、そうでない場合、サイズを変えたり、挿入の仕方をかえたりします。

 


 

ドライアイ治療「自己血清点眼」について

 

 

 涙と全く同じ成分を含んだ人工涙液は開発されていません。そこで、人工涙液や涙点プラグでも改善しないドライアイに対しては、自己の血清成分を点眼液として使用する自己血清点眼療法を行っています。

 

 傷が慢性化してしまうドライアイの場合、眼の表面が単に乾いている為に傷ができているのではないということが明らかになってきました。黒目の表面の細胞は、他の組織と同じようにターンオーバー(細胞の代謝)を行っています。涙には、この代謝を促す上皮細胞成長因子(epidermal growth factor:EGF)やビタミンAが、そして細胞の成熟に関与するTGF-βが含まれているのです。重症なドライアイでは、角膜に供給される栄養分が低下して障害が起こると言えます。

最近の研究によって、血液の血清成分は涙の成分に非常に近いことが解ってきました、そこで、血液から血清成分を分離して、それを点眼液として使用する方法を、重症なドライアイの方に対して行っています。

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