専門医のコラムDr's Column

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2016

「視力の回復する目薬下さい!」 〜テレビ放送後の反響

少し前の話題ですが、2012年10月放送のNHK「ためしてガッテン」放送後の事!

「ドライアイの目薬で “実用視力” が良くなる」という内容の放送を視聴した方が、目薬で「視力」が良くなる!と誤解をされました。そのような魔法の目薬があれば、私も使ってみたいです!? 人気番組で、一般の方にも分りやすい説明で好感の持てる番組なのですが、何事も全てが正しいとは言えないのは、この番組も例外ではありません・・・

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(「ためしてガッテン」ホームページより)

NHKの大誤報!?

画期的な目薬が販売されたと勘違いした患者さん達が、全国あちこちの眼科で「あの “NHK” で紹介された目薬をくれ」と “駆け込み需要” が起こりました。もしかして某製薬会社の販促キャンペーンでなかったかと思われるほどの一大ブーム!?

この時ばかりではありませんが、意外と一般の方が思うほど、テレビ放送を始めとしたマスコミ情報は専門家からすると「?」と思うことが多いことは事実です。
不正確な情報を公共放送が流したことに眼科医の間では大きな波紋が起こりました。
NHK「ためしてガッテン」で医学情報を扱うときには必ずその分野の専門家が解説役に出演します。たいていはその専門家がネタも提供して、内容を監修します。ということは公共放送にそぐわないことがなければ、正確性をチェックすることも出来ないため(その専門家以上の専門家がいる場合は別ですが、視聴率を取りやすい “キャラ立ちする” 専門家ですと放送局は次回も出演してもらうために多少のことは大目に見る傾向があるようです)監修者がその研究費などを出してもらっているスポンサーに利する方向に番組を誘導することも可能です。

ところでこの薬はどのような目薬でしょう?

この「ためしてガッテン」では、目薬により2200万人の方が視力回復すると放送されましたが、それは日本人の5人に1人という割合となります。日本人の20%が、目薬一本で視力が回復するとなると、本当でしたら素晴らしいことです

・・・その放送から4年近くが過ぎましたが、未だにそのような視力回復報告は寡聞にして聞いておりません

この目薬は、ジクアホソルナトリウムと、レバミピドという薬です。商品名はジクアスとムコスタUDという名前で眼科で処方可能です。さすがにNHKということで商品名は出ていなかったのですが、これらの薬は当院でも良く処方するドライアイの薬です。ムチンを増加させるということで、発売当初は「涙を増やす点眼薬がとうとう市販された」と多くの眼科専門医さえも大きな期待と込めていたようでした。確かにこれらの薬はドライアイの自覚症状(渇きや疲れ)に良く効くことも多いのですが、あまりにも良く効くとの放送内容に、多くの眼科医は違和感を持っていたようです。

確かに対症療法としての不快感を抑えることには一定の効果があり、良い薬ですので今後も当院でも処方して行きます。ドライアイによって、「目がかすむ」、「すっきり見えない」と言った自覚症状を持っていて、「最近視力が悪くなった」を思われている方が多いことも事実です。そうした症状の場合にはこれらの点眼薬が有効性があることは事実ですが、テレビで放送されたからと、疑いなく情報を受け入れてしまう方が多いことには注意が必要で、専門家と呼ばれる方には慎重な言葉選びが求められますね。

また、資本主義体制にあってマスコミが視聴率優先となることは止むをえないことですので、情報を受け取る側も注意をする必要が情報過多社会において益々必要となっているのでしょう。

涙の減少は、涙の原料である血液の問題と私は捉えています。そのために血液の質を高めることによって「涙が増える」という院内治験で良好な結果を確認しております

ほぼ全ての点眼薬をはじめとした処方薬は、一部の漢方薬を除いて病気の原因を解決しない対症療法だということを理解していれば、「視力の回復する目薬下さい!」という発想には繋がらないはずなのですが・・・。

次回は、こうした誤報で安全な近視治療、レーシックが多くの日本人に誤解を受けているマスコミ報道についてお伝えします。

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